« 1/15の名言 | トップページ | 1/16の名言 »

2007年1月16日 (火)

書評/赤朽葉家の伝説

Photo_165☆☆☆☆☆+

赤朽葉家の伝説

著者/桜庭一樹

角川書店

.

.

.

.

とうとう化け物じみてきましたなぁ!

――桜庭一樹の筆力は。

.

良い点

凄いよ、本当に凄すぎますよ、桜庭さん。

1953年からの日本の社会の変遷を、赤朽葉家の三世代の視点から描いた大作です。

序章で馴染みの薄い戦後の時代が描かれているため、重い文体と相まって読むのがきつかったのですが、半分を超えてからが、怒涛でした。まだ生まれてもいない息子の死を、千里眼で知ってしまった万葉の絶望ときたら、凄絶に過ぎて言葉も出ませんね。

過去の時代の流れがうねりをあげるが如く、現在に影響を与えている様子が克明に記されているため、物語の広がりようが半端ではありません。現在って、過去の積み重ねでできているんだなぁ。60年代。情熱に満ちた鉄の男達の生き様に、惚れてしまいそうになってしまいます。

現代社会の若者の虚無感も、実にリアルに描かれています。感情移入しすぎて、困ってしまうくらい。甲子園に行った程の球児の、仕事に本気になれないという気持ちがわかりすぎて、本当に困りました。それじゃ、いかんのです。本当は。でも、わかっているけど、どうしようもないんです。どうして、こんなに若者の心理を描くのが巧いのだろう。

終盤の二転三転する展開も、秀逸そのもの。

.

悪い点

もはや私ごときでは、どこに穴があるかさえ見当がつきません。

ただ、非常に重く、読み応えのある作風だけに、物語が盛り上がるまで待てない人もいるかもしれませんね。軽~いラノベ読みな私には、初めがきつかったのです……。

.

総評

凄い。凄すぎます。

もはやライトノベルと比較できるような作品では、なくなってしまいました。文章といい、物語の質といい、壮絶過ぎて圧倒されてしまいました。維新風に表するならば、「ステージが違う」とでもいいましょうか。

これからずっと桜庭一樹は、こんなクオリティで書き続けるのでしょうか……。毛鞠のような末路になってしまわないか、心配です(苦笑)

ついに桜庭一樹は、私のようなラノベ読みの想像の範疇を、遥かに超えていってしまったのですなぁ。

|

« 1/15の名言 | トップページ | 1/16の名言 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/177344/13510607

この記事へのトラックバック一覧です: 書評/赤朽葉家の伝説:

» 「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹★★★★☆  [藍麦のああなんだかなぁ]
「赤朽葉家の伝説」桜庭 一樹 東京創元社 ISBN:978-4-488-02393-5 ライトノベルスから大人小説にステップアップして、野生時代の巻頭特集にもなり、これからは出版界、特にミステリ系の一大看板になるであろう桜庭 一樹です。 昨年スマッシュヒットした『少女七竈と...... [続きを読む]

受信: 2007年1月26日 (金) 22:35

« 1/15の名言 | トップページ | 1/16の名言 »