書評/かくてアダムの死を禁ず 夜想譚グリモアリスⅠ
かくてアダムの死を禁ず
夜想譚グリモアリスⅠ
著者/海冬レイジ
イラスト/松竜
富士見ミステリー文庫/富士見書房
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サドデレヒロインに超シスコン主人公のタッグ!!
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良い点
密室の修道院を舞台に<大罪>を犯した人間を探る、ミステリー風味の幻想奇譚です。
なんと登場人物の女性三人がサド属性。シスコン主人公がボッロクソに罵られるシーンがたくさんあるため、M属性の方にはたまらない一冊ではないでしょうか。優しげな笑顔で毒舌を振り撒く真白さんが素敵です(笑)意外にコミカルです。ノリは、化物語の戦場ヶ原が阿良々木を罵るイメージですね。
しかし、本筋はシリアス。
主人公は過去を視る能力を使って、修道院で起きた殺人事件の痕跡<フラグメント>を回収していきます。事件の真相へ迫る過程が、過去シーンを交えながら丁寧に描かれていました。
そして誓護。鋭い観察眼を発揮しつつ、根は優しいという性格が、格好良いですね。普段おちゃらけているけど、やるときはやる男。どこか堂島コウを彷彿とさせます。クールに見せかけておりますが、実は熱い。そんな本性が垣間見れました。
終盤。加賀見の正体、実は誓護といのりを守ろうとしていたという真実には、驚愕させられました。かなり練り込まれたシナリオだと思います。
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悪い点
状況が把握しづらかったです。
主人公の推測の逆を突く展開が多かったことが、原因かな。
あと、過去シーンは、一目で内容を理解しきれない場面が幾つかありました。直後の主人公の考察がなければ状況が理解できないという点は、少々不親切に感じられました。
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総評
うん、おもしろかったです。
高い文章力、コミカルなノリ、主人公が策士――と。
いやあ、やたら私好みな要素が揃っておりますなあ。続きも読んでいこうと思います。
文章もシナリオがバランス良く質が高く、キャラの個性も1巻の掴みとしてはOKでしょうかね。
終盤に現れる敵役がちょっとイマイチに感じられたことは個人的に残念でしたが、総合的に見れば良い出来のミステリーだったと思います。私好みな作風ですし。
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コメント
キャラクターと舞台に無駄が無く、話全体もシリーズ物の最初の割りに設定等まとまっていたので面白かったです。
ただ、肝である筈のフラグメントが展開の早回しとミスリードの為にしか使われていなかったのが残念でしたが、ミステリーに在りがちなクドイ状況描写が少なく、最後までだれる事も無く読めました。
各キャラを記号的な人格で終わらせず、咎持ちの人物達をを安易に退場させなかったのも個人的に好感が持てました。
最初は館、監禁、殺人、美少女と食傷気味(暴言?)の題材で期待してはいなかったのですが(笑)主人公の個性が上手く働いて、面白い世界観に仕上がっていたと思います。
次も読もうと思いますが、逆に今回の主人公が出るかどうかで次巻の期待度も変わります。
投稿: TOTO | 2007年3月14日 (水) 18:29
TOTOさん、丁寧なコメントありがとうございます!
1巻でこのおもしろさなら、期待の持てそうなですよね。
作者も大賞受賞者だけあり、なかなか高い筆力を備えていたと思います。
キャラの魅力をさらに濃く描けるであろう2巻に注目ですね。
投稿: Mr.もやし | 2007年3月14日 (水) 22:34