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2007年10月14日 (日)

書評/ウィザーズ・ブレインⅥ 再会の天地<下>

6ウィザーズ・ブレインⅥ

再会の天地<下>

著者/三枝零一

イラスト/純珪一

電撃文庫/メディアワークス

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1、2、3巻の主要人物が、シティ・ニューデリーに集結。それぞれの信念に基づいて、戦乱に身を投じる物語です。

いやあ、素晴らしい。

シリーズでも指折りの盛り上がり様でした。

簡単に紹介→

情報制御理論と呼ばれる架空の理論が確立した、近未来が舞台。大気制御衛星の暴走により、滅亡の危機に瀕している人類が描かれています。世界観の濃厚さは、SFラノベとして最高級といって、過言ではないでしょう。

主要人物は、脳内に“I-ブレイン”と呼ばれる生体量子コンピュータを埋め込まれた、魔法士が中心となります。

魔法士は、I-ブレインによって物理法則を書き換え、身体能力を上昇させたり、分子や空間を操作して戦います。

→紹介終わり。

今回の主役は、シティ・ニューデリーの主席執行官アニル・ジュレとルジュナ・ジュレです。

2人の、シティの未来を見据えたザーコアの議論は、凄絶のひと言でした。

ルジュナが、マザーコアの正体を公式の場で明かしてしまったこと。その理由が、魔法士擁護政策の根本的な矛盾を解決するためだったこと。賢人会議が議論に乱入、その理由が、“シティの寿命を明らかにし、その上で人類の未来を見据えた解決策を探る”ためだったこと。

議論内容の濃密さもさることながら、議論自体がドラマと驚愕の展開になっている点が、素晴らしい。

一つの目的のために常に百個の手を用意していると月夜が評す、際立った策士ぶりを発揮した真昼。その真昼の策を読み切り、自らの目的のため利用した、ルジュナ・ジュレ。

いやあ、凄い凄い。

いっぽう、シティ・マサチューセッツから離反したクレア。

迷いを振り切り、精神的に成長したセラ。

あの時とは、もう、違う。

あたしも、あの子も、自分で決めた自分の道をまっすぐに歩き出している。

残酷なまでに流れてしまった時間は、なんて悲劇的なのでしょうか。

結局、破れてしまったクレアでしたが、

「次にあたし達が会うときは、あたしとあんたは今度こそ敵じゃないかも知れない!あたしはあんたの味方になってるかも知れない!……、もし、もしそうなったら――」

「――そのときは、一緒にお茶でも飲みましょ――!」

ああ――

いい。すごく、いい。

命を賭した戦闘の後だというのに、思わず吹き出してしまいました。

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一流の魔法士同士の戦闘も相変わらず、読み応えたっぷり。

二刀流&回復能力により、対魔法士戦で最強の能力を誇るディー。

対するはヘイズ&イル。常識で考えれば、勝ち目の薄いヘイズ&イル。しかし、なんて器用な(苦笑)決定的に不利な状況だったにも関わらず、最終的に引き分けにまで持ち込んでしまうのだから、凄いですね。

共に複数の能力を操るサクラと錬。“能力の二十常駐”を身に付けた錬は、いったいどこまで強くなるのやら――

物語も折り返し地点に入り、徐々に世界の秘密が明かされてきたウィザーズ・ブレイン。

大気制御衛星暴走の原因をはじめ、隠された秘密はまだまだたくさんありそうです。

いつか、10巻構成予定だと明かしていましたが、分厚くなりがちな三枝さんのこと。どうせ、また上下巻に分かれるに違いありません。きっとまだ10冊は出ることでしょう。末永く楽しませていただけそうです

濃厚な世界観と人物が揃うと、こんなにも魅力的な小説になるのだなあ。

物語はいったいどこへ向かうのか――次巻が楽しみです。

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コメント

お久しぶりです。
一昨日読み終わりました。
相変わらずいろいろとすごいお話でした。

今回はマザーシステムが永遠に稼動し続ける=シティーは永久に(シティー神戸や外部からの影響がない限り)維持され続ける。という犠牲になる魔法士たちの救い(?)となる前提が公式の場で明かされてしまいました。私はそのことにまったく気がつかなかったので、とても衝撃的だったのですが、マザーシステムを知ってる人の誰かは気がついてもよかったような気がします。しかし、このままでは本気でまずいです。どうするんでしょう。解決の糸口はやはりアリスにあるのでしょうか。今後の展開に期待です。

さて、戦闘のほうとてもすばらしかったです。まずはクレアVSセラ。吹っ切れる前(3巻あたりなど)のクレアはあんま好きじゃなかったんですが、離反した後のクレアは結構好きです。なんかかわいくなりました。ってかセラ強くなりましたね。
自分の一番のお気に入りのヘイズもディーと引き分けたり、大活躍(?)でした。
悪魔使い(並列)と悪魔使い(合成)の戦いも他の魔法士に比べると結構弱い気がしていた錬がマクスウェルの二重常駐を使ったときは、おぉーと拍手したくなりました。
マザーコアになったアニルの別れのシーンも印象的でした。
あと、最後に真昼の賢人会議の目的もやっと分かりました。
次回も非常に楽しみです。いつになるか分かりませんが・・・

投稿: half-moon | 2007年10月14日 (日) 11:29

half-moonさん、お久しぶりですー。

>しかし、このままでは本気でまずいです。どうするんでしょう。

ほんとやばいですよね。
世界滅亡へのカウントダウンが始まってしまいました。
シティが機能を失えば、その周辺でエネルギーの供給を受けている村落も影響を受けるでしょう。ただでさえ少ない人口が、さらに減ることになりそうです。

ただ、真昼がそれを黙って見ているとは思えません。彼が何か手を打って、物語がハッピーエンドへ向かうことを祈りたいですね。

>吹っ切れる前(3巻あたりなど)のクレアはあんま好きじゃなかったんですが、離反した後のクレアは結構好きです。

私も同意見です(笑)
クレアは、この巻で、随分と魅力的なキャラになった気がします。
ヘイズとの旅が描かれるのが楽しみです。

>ヘイズ

あのディーと戦って、生き残りましたからね。
いや、ホントに大した男です。
あ、今回はディーとセラの視点が描かれなかったのがちょっと寂しかったです。
そこは続きに期待したいですね。

>次回も非常に楽しみです。いつになるか分かりませんが・・・

ま、まあまあ(笑)
三枝先生のことですから、また1年くらい開くかもしれませんが、大目にみてあげましょう。おもしろいですし。
……まあ、出るのが早いに越したことはありませんけどね(笑)

投稿: Mr.もやし | 2007年10月14日 (日) 12:40

この巻読んで思ったんですけど、アニルは、政治家としてとてもすごいことをして、そして住民にとても信頼され慕われていたんですね。演説の途中に心臓が痛み出したのに、何食わぬ顔で続ける意思と覚悟が素晴らしかったです。
P316の「ーーー私は、今日まで、幸せでした。」
通じるのは読んだ人だけですが、個人的には名言になりえると思います。

ところで「ライトノベル名言図書館」に名言を送るときはどうすればいいんですか?

11時半のを書いた後、部活行って、帰ってきてこれかいてます。部活では自分の運動神経の悪さに毎日泣きたくなります。勉強も大変です。文化祭終わったのにさらに忙しくなっただけなきがします。愚痴っぽくなりましたが、自分も人間関係で結構悩んでまが頑張ります。もやしさんも頑張ってください。

投稿: half-moon | 2007年10月14日 (日) 20:17

>P316の「ーーー私は、今日まで、幸せでした。」

ああ、ここは私も感動しました(笑)
いやあ、アニルとルジュナはあくまでゲストだと思い込んでいただけに、意外な展開でした。
今巻に限れば、ほとんど主役級でしたし。

>ところで「ライトノベル名言図書館」に名言を送るときはどうすればいいんですか?

すみません。仕事に就いてから、名言の寄贈は、お休みしています。
はっはっは、私の日記も愚痴っぽいですが、日記なので勘弁してください(笑)
私も頑張ります。
half-moonさんは、あまり無理しないでくださいね。では。

投稿: Mr.もやし | 2007年10月15日 (月) 00:20

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